ワーママの皆さん。晩ごはん作り、大変じゃないですか?
朝起きてから家を出るまでの大戦争、限られた時間内に鬼の形相でこなす仕事、子どものお迎えからイヤイヤのお付き合い…
ワーママが帰宅するころには、体力も気力も残りわずか。
うちだけじゃない。きっとみんな同じはず…!
なのに、晩ごはんを作るのにかかるタスクは膨大(献立考える→買い出し→作る→配膳→食べさせる→片づける…)。しかも毎日。しかも、子どもは食べてくれない…
料理が好きだった人だって、嫌になるのも頷けるのです。
そんなワーママの負担を軽くするお話を、今回はしていきたいと思います。少しでも、毎日頑張るママの心が楽になりますように。
共働き、晩ごはんはラクしてOK!
子どもにとって、家族にとって、一番大事なことは「ママが笑顔でいること」。
たとえば、こんな固定観念に囚われていませんか?
・手作り料理こそ母の愛
・おかずがたくさん並んだ食卓こそ幸せな食卓
自分が小さい頃、自分の母は、手作りのごはんを毎日たくさん並べてくれていた。だから、私も母親として頑張らねば…
そんな理想の母親像の存在が、ワーママを(ひいては全ママを)苦しめているのです。
しかし、現実を見てください。ワーママには時間が足りません。そして世の中は、核家族化、共働きのデフォルト化…と、私たちの母親世代と比べると大きな変化を遂げています。
疲れ果てた心身に鞭を打ち晩ごはんを作り(その間も横割りは無遠慮に入る)、家族のためを思い作ったご飯は受け入れられず床に捨てられ(特に1~2歳児あるある)、慌ただしく寝かしつけまで終えた後、暗い台所で一人残った食事の片づけをする…
こんな状況で、ママが幸せを感じると思いますか?
ママが幸せを感じていないのに、子どもは、家族は、幸せを感じると思いますか?
子どもが好きなママは、怖い顔してごはんを作るママじゃなくて、いつも笑顔で幸せを振りまいてくれるママなのです。そのためには、「楽にできることはラクにする」ことが必要なのです。
晩ごはんを頑張ると、誰が幸せになるのかを考える
晩ご飯づくりをがんばることで、子どもは、あなたは幸せを感じるのか。もうすこし深堀りしてみると、ラクしていい理由が見えてきます。
凝った手料理も子どもは食べてくれない。それより…
栄養バランスに気を使い、下処理が大変な野菜を用い時間をかけてたくさん副菜を作っても、子どもは一口も食べてくれない。以前美味しいと言っていたあの表情を思い出し、平日に手をかけハンバーグを作っても、突然食べなくなる。
お皿に残った料理、床に捨てられたご飯を見ると、この上なく悲しい気持ちになりますよね。
そして、レトルトのハンバーグや、インスタントラーメンを出した日の方が喜ばれるという、なんとも悲しい現実。
でも、子どもの気持ちに立って考えてみて下さい。
怖い顔してキッチンに立っているママよりも、にこにこ一緒に食卓を囲んでくれるママの方が、子どもは嬉しいはず。食卓に出されるご飯が何であれ、後者の方が、子どもにもママにとっても良い選択だと思いませんか?
子ども達は、食卓に出されているご飯の質なんて、ママが思っているほど気にしていないもの。それよりも、ママと笑いながら食卓を囲めることの方が、子どもにとって、ずっとずっと幸せなことなのです。
ママ自身、そこにリソースを費やすべきか
ワーママが使えるリソース(時間や思考力などの資源)は限られたもの。その貴重なリソースを、成果の得られがたい晩ごはん作りに費やすべきなのか、一度振り返ってみましょう。
突然ですが、「アイゼンハワーマトリクス」をご存じですか?有名な著書『7つの習慣』で提言された、時間の使い方を「緊急性」「重要性」を軸に4つに分類しようとするものです。
帰宅後の時間を、どこにどう使うか、このマトリクスに当てはめてみて下さい。たとえばこんな風に
「ご飯を作る」と言えば緊急のこと(=毎日しないといけないこと)となりますが、その重要度合いは人によって違ってくると思います。
「子どもの宿題を見る」ことを後回しにし、丁寧なご飯を作ることに時間をかけるのか、ご飯は手を抜いても、子どもと遊ぶ時間を増やすのか…
ここで一番大事なのは、「他のママがこうしているから」と他人の軸で見ないこと。家族構成も、勤務形態も、子育ての応援体制も、各家庭により事情は様々なので、比べる意味などないのです。
「自分がどうしたいか」ということを軸に、今一度、限られた時間をどこに優先的に使うのか、振り返ってみて下さい。
晩ごはんを頑張るママに読んでほしい『一汁一菜でよいという提案』
料理家として有名な土井善晴先生の著書に『一汁一菜でよいという提案』という本があります。
日本文化としての和食の素晴らしさと、本来の和食とは、を考えさせられる一冊。和食を初期化するのに、一汁一菜をベースとするのはいかがか、という土井善晴先生の提案が、なんとも優しい文調で書かれています。
この本を「ワーママのごはん事情」という観点から読んで、お伝えしたいと思ったことは以下の3つ。
- ハレとケという考え方
- いつもの味が、家族の安心
- 誰かを思ってお料理をすることが、愛情である
ハレとケという考え方
この本の冒頭は、次の一文で始まります。
この本は、お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んでほしいのです。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
食事作りにストレスをなくすには、食事を一汁一菜にすること。
そして、それに罪悪感を感じなくていいのだという根拠となる考え方が、「ハレとケ」です。
日本に元来ある考え方として「ハレ」「ケ」という概念があります。
「ハレ」というとお祝いの席やお祭り事、それに対し「ケ」は日常です。かつてはその2つはいつも切り離されているものだったのです。しかし、それらが混在し、混乱しているのが日本の現状。
多くの人が、ハレの価値観をケの食卓に持ち込み、お料理とは、テレビの料理番組で紹介されるような手の込んだものでなければいけないと思い込んで、毎日の献立に悩んでいるのです。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
「そう!その通りなのよ!!」
と激しく頷きたくなります(笑)インスタで流れる手の込んだお料理の写真が、ママたちの心理的ハードルを上げてしまっているのも、きっとこれと同じ現象ですよね。
キラキラしたお料理は、子どもの誕生日とかクリスマスに取っておけばいいのです。毎日のご飯は「手を掛けないもの」でよい。これは、都合の良い考え方ではなく、日本文化が有する本来の食事に対する考え方なのです。
いつもの味が、家族の安心
毎日ご馳走を作る必要なんてない、ということが分かったと思います。そして、メニューがマンネリ化しているという悩みにも、それほど罪悪感を感じる必要もないのです。
家庭料理ではそもそも工夫しすぎないということのほうが大切だと思っています。それは、変化の少ない、あまり変わらないところに家族の安心があるからです。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
名もなき料理でもいい。いつもの味が、家に帰ると待っているということ自体が、家族みんなの安心なのです。
また、「ごはん、味噌汁、卵焼き」というメニューが固定化していたとしても、季節に合わせて味噌汁の具を変えたり(夏になると冬瓜を入れるのですが、これがわが家では大好評)、卵焼きにほうれん草を入れてみたり。
毎日同じだからこそ、ちょっとした変化にも気づき、季節の移ろいを感じることもできるのです。
誰かを思ってお料理をすることが、愛情である
「うちは毎日、納豆ごはんと味噌汁だよ~」と笑いながら言うワーママさんに、ときどき出会います。それを聞いて、「ご飯くらいちゃんと作ってあげなさいよ」と言う大人だって、中にはいます。
でも、子ども達がいいのであれば、「納豆ごはんとお味噌汁」がいいのです。むしろ、体裁を整えるために出来合いのものばかりで済ますよりかは、家族のためにご飯を炊き、味噌汁を作る、ただそれだけであっても、その方が家族への愛は深いものだと思うのです。
台所の安心は、心の底にある揺るぎない平和です。お料理を作ってもらったという子どもの経験は、身体の中に安定して存在する「安心」となります。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
でも、このお料理は自分のためにつくってくれているということを無意識のうちに心に溜め込んでいくのだと思います。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
味噌汁一つにしても、家族の好き嫌いを考えて、入れる具材を選ぶと思います。器だって、年齢に合わせた食べやすいものを選びます。そして、家族の健康をおもい「少しお野菜を増やそうか」「お味噌は無添加のものを選ぼう」と日々考えます。これらが、家族への愛情と呼ばずして、なんと呼ぶのでしょうか。
そして、お料理をすることを「どうぞ踏ん張って」ほしいと、土井善晴先生は述べています。
人生とは、食べるために人と関わり、働き、料理して、食べさせ、伝え(教育)、家族を育て、命をつなぐことです。・・中略・・「行動(働き)」と「食べる」の連動性がなくなれば、生きるための学習機能を失うことになり、行動して食べることが心を育てると考えれば、大いに心の発達やバランスを崩すことになってしまいます。
土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』
料理をすることは、生きるための働きであるということ。人間の根幹にあるこの営みを続けるためにも、日々のごはんは手を掛けず、いつもの「一汁一菜」で充分だといえるのです。
ご飯づくりがしんどいワーママに考えてほしいこと
とはいえ…
「夫は料理の手を抜くことを許してくれない」
「食べ盛りの子がいるから、その方法は無理!」
というお声もあると思います。「必ず一汁一菜にしましょう」と主張したいわけでもありません。何なら、かく言う私自身、一汁一菜でない日もたくさんあります。土井善晴先生自身も書かれるように、あくまで「提案」です。
一汁一菜が家庭の事情にそぐわないのであれば、ママ自身のリソースを温存するための「しくみ」の導入を検討してみましょう。例えば次のようなものです。
・時短家電の導入→時間を温存
・ミールセットの導入→買い物に行く時間と、献立を考えるという思考を温存
「ごはんとお味噌汁、プラス一品をミールセットで」など、わが家も試行錯誤を繰り返しながら、いいしくみはないか模索中です。
最近ミールセットをお試ししましたが、その週はかなり気持ちが楽になりました!
実際にヨシケイをお試ししたときのレビュー
ごはん作りを楽にすることに、罪悪感なんて感じなくていいのです。それよりも、ママが笑顔でいられることが、家族にとっても一番大事。
今がしんどいワーママへ、自分がラクなご飯づくりを模索してみてはいかがでしょうか。